こんにちは、歯科医師の伊藤です。
前回自分が掲載したブログでは顎関節症分類について報告しました。
今回はその続き、顎関節症に対する治療計画について、前回同様に顎関節学会のガイドラインより抽出してお話ししようと思います。
検査に基づいた診断・治療計画の立案
まず顎関節症の治療を適切に行うためには,現在の顎関節症の症状を的確に検査,診断する必要があります。まず患者の症状を確認し,各種検査で症状の重篤度を把握し,その結果をもとに,必要に応じて専門医や医師との連携を取り,患者の全身状態なども考慮して治療計画を立案します。次に,患者に十分説明し同意を得た後, 治療計画に沿って治療を進めていくことが大切です。
顎関節症の治療,管理目標
顎関節症に対する治療,管理目標は痛みを減少させること,顎機能などを回復させること,正常な日常活動を回復させること,および病因に対する暴露時間を減少させることです。
すなわち日常生活に困らないほどに顎関節痛や咀嚼筋痛,開口障害などの顎関節症の症状を回復させることである。また,これらの管理目標を達成させるためには,身体的障害の治療を行い,リスク因子の影響を減少させる,または消失させるためのプログラムを実施することが大切です。
顎関節症患者の自覚症状は保存的治療によって良好に緩和することがほとんどです。
そのためできるだけ保存的で可逆的な治療を行うことが推奨されています。
顎関節症の基本治療と再評価検査
顎関節症の基本治療としては,病態説明と疾患教育に始まり,可逆性の保存的治療 として理学療法,薬物療法,アプライアンス療法などを主体として,セルフケアも含めて可逆的な治療が行われるべきです。
口腔機能回復治療
顎関節症の基本治療,専門治療の後,口腔機能(咬合,咀嚼,審美,発音機能など) の回復が必要な場合は,修復・補綴歯科治療を行い,安定した咬合を確立し適切な咬合機能を回復させます。また場合によっては矯正歯科治療を行うことでより大きな咬合不全を改善,機能を回復することができます。
顎関節症安定期治療
各種病態の治療後に症状が改善し安定期となっても,セルフケアとしての開口ストレッチや咀嚼筋マッサージなどを継続する必要があります。また,変形性顎関節症におい ては,他の病態での痛みや開口障害などの症状が落ち着いた後でも下顎頭の変形を長期にわたり管理する必要があります。
メインテナンス
顎関節症は再発しやすいので,治癒状態でもメインテナンスは必須であり,メインテナンスは,顎関節が臨床的に健康に回復した状態を長期に維持するために,患者が行うセルフケア(ホームケア)と患者の治療への意欲を高めるために歯科医療従事者 が行う動機づけ(モチベーション)が重要です。
顎関節症は、専門家による的確な診査、診断の後に、可逆的、保存的な治療を行うことが推奨されていることが分かりました。
さらには、顎関節症は再発しやすく、日頃からのセルフケアも重要であることも分かりました。
当院では顎関節に深い知識のあるスタッフが充実しています。
セルフケアの方法もお伝えできることが多いです。
顎関節ちょっと気になるな、最近口が開きづらい気がする、などありましたらご気軽に当院にご連絡ください。