さつまではお顔の分析にあたり、セファロスタンド使っています。
これは頭部を固定してセファロ(頭部X線規格撮影)を撮るための装置です。歯科でパノラマX線写真など撮られたことがある方もいると思います。
このようにセファロスタンドはもともと骨を見るものですが、さつまでは主に口腔内から顎位や軟部組織に働きかけるお顔の施術を行いますので通常の撮影した画像を参考に外形的な特徴を見ています。
●正面
まずお顔の正面画像の分析について
例えば、正面からだと
整った顔のひとには規則正しく釣り合いの取れたバランスがあります。
目の大きさの左右差がない。
目や眉、頬や口角の高さが揃っている。
フェイスラインも卵型で、エラや頬が張っていたり左右差がない。
頬や口角が上がって立体感がある。
etc‥
これらを患者さまのお悩みとともに、お顔の分析画像で確認して原因説明や施術プランニングの説明を行っていきます。
お顔の歪み(左右差だけでなく、たるみやエラも縦方向や横方向の歪み)には‥
①顎関節の動きからの関節性の歪み
②咀嚼筋・表情筋の使い方の癖などからの筋肉性の歪み
などがあります。歪みを取るためにはこれら二層の歪みを考えて分析していきます。
正面からのセファロスタンドを使った分析では…
・顎の偏位(縦の赤い線で顎の左右のズレの確認)
・頸椎の歪み(縦の青い線で首の左右差の確認)
・フェイスラインやエラの左右差(縦の黄色い線で顎角や筋肉量の左右差の確認)
・目や頬や口角の高さの左右差(横の緑の線で各部位の位置の確認)
・その他、ほうれい線や眉の高さ、肩の高さ…etc
これらを分析してさらに実際の触知や開口時の顎の動きを見ていくことで、顎関節の動きからの関節性の歪みや咀嚼筋・表情筋の使い方からの筋肉性の歪みを分析して施術方針を立てていきます。また顎の偏位や頸椎の歪みから、連動する骨盤の歪みがあることも分かります。
写真では顎の右シフトが見られ頸椎の歪みから右斜頸があります。
咬筋(エラ張り筋)の付き方も開口時の右シフトから左右咬筋の発達部位の違いがあり、フェイスラインや目・口角の高さの違いが出て右が下がっています。
右斜頸で顎の右シフト、肩も右が下がっていることから骨盤も右が下がっていることが予測されます。
●側貌
これらは顔を正面から平面として捉えた場合の分割線による分析です。
この他にお顔の審美性を決める要因として、お顔を横から見た場合の側貌があります。
側貌は審美性に重要な影響を与えており、縦幅や奥行き、その他お顔の特徴を判断する上で欠かせないのです。
まず、代表的なものとしてエステティックライン(E-line)があります。側貌において鼻の先端と下顎の最突出点を結ぶ線です。上の側貌画像では緑色の線になります。
このE-lineと上下の口唇の最突出点の距離で、上下口唇の突出や後退を評価します。日本人は欧米人と比べ鼻が低いため上下の口唇がともにほぼこのライン上に位置するのがバランスが良いとされています。
側貌型【コンベックスタイプ】
ここで側貌型というのがあります。
前額部最突出点(グラベラ)、鼻下点(サブナザーレ)、オトガイ部最突出点(ポゴニオン)の3点を結んだ線で診断します。
①上顎前突の顎態であるコンベックスタイプ(凸顔型)
②ストレートタイプ(直顔型)
③下顎前突の顎態であるコンケイブタイプ(凹顔型)
の3タイプがあり、美しいE-lineができるのは上顎前突の①コンベックスタイプになります。
もっと細かい分類として【顎顔面骨格系の分類】というのもあります。
【顎顔面骨格系の分類】
縦軸→お顔の垂直的な長さについて
横軸→立体的な上顎の前後的な突出度の度合いについて
9つに分類しています。表の左側は上顎が突出しているタイプです
特に極端な場合はいわゆるアデノイド顔貌といって口呼吸で舌根が下がり下顎の発育不全の場合もあります(左下)
舌が下がりフェイスラインが出にくくなりやすく、姿勢も首が前に出ていることが多いです
短顔型で噛み合わせが深いタイプ(過蓋咬合)はくいしばりしやすく咬筋が発達しやすいですが、ケアすることでいつまでも若々しく見せることができます。
医学的にも上顎の成長は10歳位までで終わり、その後下顎が成長していきます。
故にこどもの顎骨は上顎が大きく、下顎が小さいので下顔面が小さい(短顔)と若く、可愛らしい印象になります。
前述のコンベックスタイプがこのタイプに近いです。
【下顎角】
さつまでは、お顔の矯正をするにあたり特に注目している指標として下顎角というものがあります。
下顎角は120°±10°の範囲にあるのが一般的です。
この指標で主にお顔の垂直的な長さやエラに関して考察することができます。
下顎角が大きいほど(120°より大きく、特に130°を超える場合など)骨格的に面長傾向になります。
面長が気になっている方でもこの下顎角が120°台にある場合などは、骨格的な面長ではなく姿勢の悪さや舌が下がるなどの原因で面長に見えていたり顎位が下がっていることがあるので矯正により改善しやすいとも言えます。
また下顎角が小さいほど(120°より小さく、特に110°を下回る場合など)骨格的にエラが張りやすくくいしばりも強い傾向にあります。
エラ張りが気になっている方でもこの下顎角が120°台にある場合などは、骨性のエラではなくくいしばりによって咬筋が発達してエラ張りになっていることが多いです。その場合お顔の矯正やくいしばり防止のセルフケアなどの指導をしつつエラ張りを改善して小顔に持っていけます。
上の画像の方は下顎角122°なので、咬筋性のエラだと推測できます。それに合わせて矯正方法のプランニングをしていくことになります。
このようにお顔の側貌には情報量が多く、くいしばりが出やすいのか?舌が落ち込みやすいのか?どこまで改善できるか?などお顔の傾向や、姿勢なども分かるので、矯正の方向性を判断することができます。
Before After