◆心と身体
東洋医学では「七情」といって、七つの心の動き「怒」「喜」「思」「悲」「憂」「恐」「驚」が身体の各機能に大きな影響を与えると考えています。
いつも怒っていたり、考え過ぎたり、悲しみに沈んだり‥となると身体の不調につながってしまいます。が、喜び過ぎるのもほどほどに、と考えるのが東洋医学です。「喜は気を緩める」といわれ、緩みっぱなしで緊張感がなくてはバランスが悪くなるということです。
心も身体も常にバランスが取れており、整っていることが望ましいのです。
最近はうつなどの心の不調が体の不調と結びついていることがわかってきて、心身相互の関係がより理解されつつあるのはよいことです。
人間を身体と心、精神を持つ統一体であると考え、身体、心、精神のそれぞれの働きや繋がりを大切にしていかないといけません。
◆身体にある全ての細胞、組織、器官を繋ぎ包みこむFascia(膜組織)
全身の筋肉や骨は勿論、内臓器や神経系、血管系、リンパ系全てこのFascia (膜組織)によって繋げられています。身体を一つの繋がったシステムとして捉えているのもこのFasciaの存在があるからです。
このFasciaによりあらゆる器官が相互に関係性を保ちながら強調して働くことができるのです。
その意味合いは単なる身体内部での機能だけではなく、感情や精神活動、意識や外界にまでその影響があり、全てのバランスをとる重要な組織としてとらえられています。
そして、頭蓋から仙骨は、呼吸に合わせて一定の動きがあり、脳脊髄液の循環をさせています。
脳脊髄液とは、脳と脊髄を包んでいる硬膜という「膜組織」の中にある半透明な液体です。
身体がゆがむと脳脊髄液の循環がうまく行われなくなってしまうのです。
脳脊髄液が循環されないと脳の機能が低下して自律神経やホルモンのバランスも低下します。
するとうつ病や自律神経失調症に特有な症状が出てくるのです。
人体の構造は何らかの理由によりその性質にそぐわない機能(ストレス)を強いると、その形状も徐々に変化していきます。そのことは形状が変化すると、本来発揮していた機能が次第に保てなくなるという負の連鎖を引き起こすのです。
人間という生物は生まれつき自己調節能力を持っています。構造と機能とのバランスが整った最適条件では、身体・心・精神はでき得る限り健康を維持し、治療するように働きます。
マニピュレーションによる身体の調整は消化・呼吸・循環・脳機能のバランスを回復することに役立ちます。
◆身体と心を整える
自律神経は、その名のとおり無意識下で機能して「自律的」に作用して、その生体の恒常性維持機能の一端を担っています。
このような自律神経の調整を行う場合、自律神経やホルモンの中枢である間脳の解剖学的、生理学的立場を考える必要があります。
辺縁系→情動の場)があり、間脳はその下位に存在しています。
それは、間脳(自律神経中枢)は上位中枢である大脳皮質と古皮質の影響を受けるということです。
自律神経の調整においては、身体の調整だけでなく、知的な場である大脳皮質で「理解」や「気付き」得ることが必要です。
それにより情動の場である大脳辺縁系が安定することで大脳皮質と大脳辺縁系による間脳への影響が解かれることになります。
身体と心は、この状態になって初めて自律神経やホルモンの状態も整い肯定的な生態反応を期待できるようになります。
◆やる気や才能の開花
身体について「理解」や「気付き」を得て心身を安定させるにあたって、「呼吸」が重要になります。
身体を整えて良い呼吸ができれば脳脊髄液の循環も良くなりますが、さらに言うと自律神経の中で唯一、意識が介入できるのが「呼吸」なのです。
整った身体による良い呼吸を意識できると、その状況が脳に戻るので、良い意識のパターンで脳に働きかけ自律神経を整えるアプローチをすることができます。
自分の内なる力を信じ、自分にたいして肯定的になることが重要です。自分を信じれば信じるほど(肯定的な思考)心も整いチャンスが増えます。
整った身体を認識して気付きを得ることにより、自分に対する肯定的な想念パターンを作り出すことができるので心も整い、やる気も出て潜在的な才能が開花するのです。