顎関節症の治療計画について

こんにちは、歯科医師の伊藤です。

最近、当院を新しく受診される顎関節症でお悩みの患者さんが増えてきました。

そのため今回は、顎関節症に対する治療計画について、顎関節学会の診療ガイドラインより抜粋してお話ししたいと思います。

◯顎関節症における診断・治療計画の立案

顎関節症の治療を適切に行うためには,現在の顎関節症の症状を的確に検査、診断する必要がある。まず、患者の症状を確認し、各種検査で症状の重篤度を把握し、その結果をもとに、必要に応じて専門医や医師との連携を取り、患者の全身状態なども考慮して治療計画を立案する。次に、患者に十分説明し同意を得た後、治療計画に沿って治療を進めていくことが大切である。

◯顎関節症の治療、管理目標

顎関節症に対する治療、

・管理目標は痛みを減少させること
・顎機能などを回復させること
・正常な日常活動を回復させること、および病因に対する暴露時間を減少させること

である。すなわち日常生活に困らないほどに顎関節痛や咀嚼筋痛、開口障害などの顎関節症の症状を回復させることである。また,これらの管理目標を達成させるためには、身体的障害の治療を行い、リスク因子の影響を減少させる、または消失させるためのプログラムを実施することである。

顎関節症の自然経過を調べた研究では、顎関節症は時間経過とともに改善し、治癒していくことが多い疾患であることが示されている。顎関節症患者の自覚症状は保存的治療によって良好に緩和することがほとんどである。そのためできるだけ保存的で可逆的な治療を行うことが推奨されている。

◯顎関節症の基本治療と再評価検査

顎関節症の基本治療としては、病態説明と疾患教育に始まり、可逆性の保存的治療として理学療法、薬物療法、アプライアンス療法などを主体として、セルフケアも含めて可逆的な治療が行われるべきである。

本治療により2週間から1か月程度で症状は改善することが期待される。

「正当化できる特定の証拠」がないかぎりは、顎関節症患者の治療の第一選択は、保存的で可逆的かつ証拠に基づく治療法とすることが強く薦められる。

多くの顎関節症患者の自然経過を調べた研究により、顎関節症は時間経過とともに改善し、治癒していく疾患であることが示唆されている。あまねく効果的であることが証明された特定の治療法 が存在しないとはいえ、保存的療法の多くがほとんどの侵襲的な治療法と少なくとも同程度に症状の改善をもたらすことのできることが証明されている。保存的療法は不可逆的な変化を起こさないため、害をもたらすリスクは格段に少ない。プロフェッショナルケアは、必ず 顎関節症という疾患そのものや症状の管理の仕方について患者教育を行うというホームケア(セルフケア)と合わせて実施されるべきである。

以上より、顎関節症治療の第一選択は、噛み合わせの調整や矯正の様な侵襲性のある治療ではなく、可逆的で保存的な治療が優先されることが分かります。

当院では、顎関節および関節に関与する筋肉にアプローチし、過度なストレスを除去することで、顎顔面領域の機能的な回復、並びに審美の向上に努めています。カウンセリングからご予約いただくことも可能ですので、お悩みがある方、興味がある方は是非当院にお越し下さい。

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