❶子供の上顎骨・下顎骨の成長について
左が新生児、中央が5歳、右が成人の頭蓋骨です。
子供と大人では大きく頭蓋の構成している骨のバランスが異なっています。
子供の頃は顔面部が小さく眼がくりっとして可愛い感じですが、成長とともにだんだん面長になっていきます。
これは脳頭蓋及び上顎と、下顎の成長のピークの違いによります。
脳頭蓋は生まれてすぐに成長のピークとなり、7歳には成人の90%の容積に達するので、子供は身体に比して頭は大きいのです。そして上顎骨も10歳までが成長のピークとなります。
その後に、下顎骨は男性は中学から高校にかけて、女性は小学校高学年から中学にかけて上顎骨に遅れて成長のピークを迎えます。
❷舌の位置が悪いと歯並びだけでなくお顔も歪む
普段の無意識のとき、舌はどの位置にありますか?
舌の先が上の前歯の根元の少し後ろについていて、舌全体が上顎についているのが正しい位置です。歯に当ててはダメです。
しかし、舌の筋肉が弱かったり口呼吸だったりすると舌が下に落ちてしまうことがあります。これを低位舌といいます。
ところで、実は舌には上顎骨の成長を促す役割があります。そのため上顎骨の成長のピークである小児の頃に低位舌になってしまっていると、上顎骨が成長しないまま、その後下顎骨だけが成長してしまうことになります。
その結果、上顎を広げることができないため噛み合わせが悪くなり、受け口になったりする事もあります。
また、成長期に舌が下がってしまい上顎骨が充分に発達できないままだと表情筋も成長しません。目元や口角が下がりお顔がのっぺりした印象になってしまいます。
さらに、舌が下がると舌骨が下がり舌骨上筋群などの顎の筋肉が下げられて、フェイスラインがしっかり出てこなくなり二重顎になってしまいます。
舌の筋肉も弱くなってしまい、寝ている時などに舌が落ち込み気道が圧迫されていびきをかきやすくもなります。
舌は表情筋や舌骨上筋群などの頭蓋部の筋肉、上顎骨や下顎骨のバランスのとれた成長に不可欠です。したがって低位舌はしっかり改善していかなければ歯並びだけではなくお顔も歪んでしまいます。
❹大人になっても
低位舌の原因は指しゃぶり癖や扁桃炎などで口呼吸になっている場合などがあります。
ただ姿勢も舌の位置の重要な要因になります。
猫背の姿勢で立っていると、体のバランスをとろうとしてしまって頭が前に出てしまいます。
頭は重いので、下顎が後ろに引っ張られるようになり口が開いたままになったり 、舌が下の前歯の裏側にあたって低位舌になったりします。
また、猫背の状態で座っていると立っているときよりも首や腹部を圧迫します。そのため、呼吸を楽に行おうと下顎を前にしようとするので 、顎の位置や動きが不安定 になってしまいます。身体の姿勢についても、顎の成長や歯並びにとても深く関わっているのです。
背筋を伸ばし、頭が前に出ないようにといった正しい姿勢というものを、年齢問わずに心掛けることが歯並びやお顔の歪みの防止にとても大切です。