蝶形骨とはどんな骨?
頭蓋骨の中心にある「大黒柱」

蝶形骨は、その名のとおりチョウチョが羽を広げたような形をした骨です。
頭蓋骨(頭の骨全体)は15種類22個の骨が組み合わさってできており、蝶形骨はその中心部に位置しています。しかも、頭蓋骨を形づくる骨のうち9種類14個と接しているため、顔全体のバランスに大きな影響を与えます。
家にたとえると、中心で建物全体を支える「大黒柱」のような存在です。そのため、蝶形骨にゆがみが生じると、顔のゆがみだけでなく、さまざまな体の不調の大元になることもあると言われています。
歯ぎしり・食いしばりが顔をゆがめる仕組み
噛む力は体重と同じくらい

人が噛むときの力は、おおよそその人の体重と同じくらいと言われています。男性なら60〜70キロ程度、女性なら40〜50キロ程度です。食いしばりが強い方では、体重の倍以上の力がかかることもあります。
咀嚼筋とエラ張りの関係

噛むときに使う筋肉を「咀嚼筋(そしゃくきん)」と呼びます。咀嚼筋には、咬筋(こうきん)、側頭筋(そくとうきん)、外側翼突筋(がいそくよくとつきん)、内側翼突筋(ないそくよくとつきん)の4種類があります。
無意識に歯ぎしりや食いしばりを続けていると、咀嚼筋やあごの関節に強い力がかかり続けます。その結果、あごの関節に不調が出る「顎関節症」になりやすくなったり、咬筋が発達しすぎてエラが目立ったりします。
下あごは筋肉で「ブランコ」のように支えられている

下あごの骨(下顎骨)は、外側を咬筋、内側を内側翼突筋にはさまれ、ブランコのように支えられています。咬筋は頬骨のアーチ部分(頬骨弓)から、内側翼突筋は蝶形骨からのびている筋肉です。
噛むときには、咬筋と内側翼突筋が一緒に働きます。そのため、歯ぎしりや食いしばりを続けると、この2つの筋肉がともに発達しすぎてしまいます。
このように、蝶形骨は内側翼突筋を通して下あごとつながっています。つまり、あごのズレやゆがみの影響を受けやすいのです。内側翼突筋は咬筋と一緒に働く筋肉なので、片側だけが発達すると、蝶形骨も食いしばりが強い側へゆがんでしまいます。
蝶形骨のゆがみは顔全体・体全体へ広がる
側頭骨と連動して目や頬の高さに左右差が出る
蝶形骨は頭蓋骨の多くの骨とつながっていますが、なかでも側頭骨(耳のまわりの骨)や後頭骨(後頭部の骨)と大きく連動しています。
食いしばりが強い側に蝶形骨が落ち込むようにゆがむと、目の高さに左右差が出てきます。さらに側頭骨も一緒に動くことで、頬の高さなど顔全体の左右差やゆがみにつながっていきます。
後頭骨を通して首・肩・骨盤にも影響
蝶形骨は、後頭骨とつながる部分を支点として、ゆりかごのように揺れる動きをしています。
後頭骨は首の骨(頚椎)と関節をつくっています。また、後頭部の深い筋肉(後頭下筋群)をはじめ、体幹を通って骨盤の中心にある仙骨(せんこつ)までつながる多くの筋肉が付いています。そのため、蝶形骨のゆがみは首や背骨を通して仙骨にも伝わり、肩こりや姿勢の崩れなど、体全体のゆがみの原因にもなります。
あごの緊張をゆるめることが蝶形骨のケアにつながる
ここまでお伝えしたように、蝶形骨・あご・首・骨盤はつながり合って動いています。そのため、咬筋や内側翼突筋の緊張をゆるめ、あごのゆがみを整えることで、蝶形骨も同時に整えていくことが期待できます。
当院では、口の中からあごまわりの筋肉にアプローチすることで、蝶形骨や首の上部の骨(上部頚椎)なども同時に整えていく考え方を取り入れています。顔のゆがみや左右差、たるみに加え、首や肩など体の不調の改善につながる可能性があります。
気づきにくい歯ぎしり・食いしばりのセルフチェック
歯ぎしりや食いしばりは、寝ている間や集中しているときなど、無意識に起こることがほとんどです。次の項目に当てはまるものがないか確認してみましょう。
- ストレスを感じていて、歯にも痛みがある
- 朝起きたときに、首や肩のこりがある
- 朝起きたときに、あごの疲れや痛みがある、口が開きにくいことがある
- 舌や頬の内側に歯の跡がついている
- 顔に左右差が出てきた、エラが張ってきた
まとめ
蝶形骨は頭蓋骨の中心で顔全体を支える、とても重要な骨です。歯ぎしりや食いしばりによってあごまわりの筋肉が片側だけ発達すると、蝶形骨がゆがみ、目や頬の高さの左右差、エラ張りといった顔のゆがみにつながります。さらにその影響は首や背骨を通じて、肩こりや姿勢など体全体にも広がっていきます。
チェック項目に当てはまるものがあった方は、歯ぎしりや食いしばりをしている可能性があります。顔の左右差や体の不調を「年齢のせい」「生まれつき」とあきらめず、あごまわりから全身のバランスを見直すケアを始めてみてはいかがでしょうか。