顎関節症とめまい、耳鳴りの症状
季節の変わり目はめまい、耳鳴りが多い
季節の変わり目に出やすいめまいや耳鳴りの症状ですが、特に春は出る方が1年で一番多いです。
気候が不安定で気温差もあり、体の内部環境を一定に保つ恒常性が維持できずに自律神経が不安定になることが多くのきっかけになります。
程度の差はあると思いますがめまいや耳鳴りで辛い症状をお持ちの方は多いのではないでしょうか?めまいを訴える人の数は、厚生省の国民生活基礎調査では、約240万人にのぼっているとのことです。
臨床医学の勉強で耳鳴りめまいはよくしましたが、実際になってみてその辛さがわかりました。
めまいや耳鳴りの原因
めまい耳鳴りの原因としては多岐に渡りますが、①耳疾患②脳疾患③筋緊張型・自律神経失調型などがあります。
ここで顎関節症と関係があるのが③の筋緊張型・自律神経失調型になります。
耳は外耳・中耳・内耳に分かれています。内耳神経は脳神経の1つで脳に直結している重要な神経です。内耳神経は蝸牛神経と前庭神経に分かれて、それぞれ聴覚と平衡感覚を司っています。
従って、これらの神経や接続する三半規管や蝸牛といった感覚受容器のちょっとしたバランスが崩れるだけで、症状が出ることになります。
からだの平衡をつかさどる器官には三半規管、耳石器、前庭神経、脳幹、視床、大脳皮質があります。このどの場所が障害されてもめまいがおこります。三半規管は体の動きをとらえる器官で、回転などの動きを鋭敏にキャッチします。耳石器は加速度や重力をとらえる器官です。
三半規管と耳石器でキャッチした体の信号は前庭神経で脳幹へ伝えられます。前庭神経が障害されると、強い回転性のめまいがおこります。
耳鳴りのメカニズムについても、まだ完全には解明されていません。しかし、音の振動が伝わる外耳→中耳→内耳の蝸牛→聴神経→脳というルートのどこかに異常が生じることで、耳鳴りが起こると推測されています。
ただし、めまい・耳鳴りは原因がはっきりしているものだけではなく、特定の原因が分かりにくいことが多いのが問題です。病院でも、異常無しと言われ辛さがわかってもらえない難しさがあります。
顎関節症との関係
耳鳴り・めまいには色々な原因考えられ、脳疾患や動脈硬化による神経圧迫等も稀にあります。なのでまず耳鼻科や脳外科などの病院で診てもらう必要があります。 それでも特定の原因がわからず、わかっても症状が安定しにくい方は自律神経の乱れや、それに伴う筋緊張も影響していると思われます。
そして、顎関節症の場合、このような筋緊張型・自律神経失調型のめまい・耳鳴りが伴うことが考えられます。
まず顎関節は受け皿となる側頭骨と下顎骨からの関節突起から出来ています。側頭骨には中耳と内耳が入って、そこには平衡感覚の受容器である三半規管や聴覚の受容器である蝸牛があり、咽頭につながる耳管で中耳の圧調整を行っています。
強い食いしばりによって顎関節に負担が掛かると顎関節症だけでなく、耳管も圧迫され中耳の圧調整がうまくいかずにめまい・耳鳴りの症状が出ることが考えられます。
また咀嚼筋の異常緊張に伴い、同じ下顎神経支配である鼓膜張筋や口蓋帆張筋の緊張も異常になり、中耳に圧変化が生じる原因ともなります。音量の調整もしている鼓膜張筋の緊張で耳鳴りの原因にもなります。
さらに、食いしばりにより下顎骨関節突起が後上方へ偏位して耳介側頭神経を機械的に刺激してしまうと、付属している耳神経節に入り込む副交感神経と交感神経のバランスが崩れて自律神経が失調し易くなります。特に交感神経が優位になり過ぎてしまうと、さらに筋緊張が高まり、また内耳・脳幹の血流に左右差も生じめまいが発症することも考えられます。
このように食いしばりや顎の調子が悪くめまいや耳鳴りある場合には、顎関節周囲の筋緊張を解き、自律神経を整えれば改善の見込みがあります。